杉本五郎中佐の書が、仏通寺から見上げられる断崖絶壁に刻まれている。

「尊皇」の二字は、中佐の精神を今に伝えて余すところなしと見る。

「すめらぎをたっとぶ」と読めるこの文字に込められた思想は、単に戦前の超国家主義と切り捨てられるものではない。

少なくとも幕末・明治維新の尊皇の志士達の精神史に連なる文字であろう。

近代日本の精神史を顧みるとき、この文字が消え去った「戦後」という時代は、如何にもワサビの抜けたげな時代であることか。