広島市街を一望に望む比治山。その小高い丘の上から、摂政宮殿下は広島をご覧遊ばされた。以来70年余の歳月を経たこの地に、昭和天皇の御聖徳を偲ぶ御製碑が建立されている。

 選ばれた御製は、「広島」、昭和二十一年、たっての願いで実現した広島行幸。その際のことを詠まれた御製である。

 ああ広島 平和の鐘も 鳴りはじめ たちなほる見えて うれしかりけり

 原爆に被災した広島に、昭和天皇はことのほか御心を痛められた。その思いがこの御製に迸り出ているように思われる。こころないものがこの御製碑に赤ペンキをかけた事件があった。その歪んだ行いに広島市民は眉をひそめた。今はもう、この場所には樹木が生い茂り、市街を一望することは困難であるが、往時を偲ぶよすがとして時には訪れて見たい場所である。