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2008年3月20日 (木)

しきしまの道の師、逝く、嗚呼

「2008/03/19-19:45 夜久正雄氏死去(亜細亜大名誉教授・国文学)
 夜久 正雄氏(やく・まさお=亜細亜大名誉教授・国文学)19日午前8時56分、肺炎のため東京都武蔵野市の病院で死去、92歳。東京都出身。自宅は同市桜堤1の3の24の206。告別式は23日午前11時から三鷹市上連雀2の5の13の法専寺で。喪主は長男竹夫(たけお)氏。(了)」

 夜久正雄先生が、今日、逝去された。数へ年94歳であったという。

 実は、昨日の夜、ある会合で、「しきしまの道について」という題で90分話しをさせて頂いた。

 依頼を受けてから2ヶ月時間があったが、常に頭の片隅で考え続けているような状況で、昨日何とか話終えたところでほっと肩の荷を下ろしたような気持ちになった。この間一貫して私を導いてくれたテキストこそ、夜久正雄先生の『しきしまの道研究』であった。そのほか、『短歌のすすめ』『短歌のあゆみ』『和歌と日本文化』『万葉集その漲るいのち』『明治天皇御集』『今上天皇御歌解説』等等である。
 そしてまた、『古今集』『新古今和歌集』『神皇正統記』『古事記』『万葉集』『古事記傳』『うひ山踏み』『本居宣長』等等。挙げていけば枚挙に暇がない。

 本当に久しぶりに、「しきしまの道」といふ学びを分け入ったのである。

 その翌日、夜久先生の訃報に遭はうとは、何か、運命といつたものを感じるといったら、大袈裟になるだろうか。
生前一面識ものが、をこがましくも。

 しかし、このしきしまの道についての学びが、今まで以上に抜き差しならぬ意味を持ってきたことを感じる。

    寄道述懐
 「白雲のよそに求むな世の人のまことの道ぞしきしまの道」(明治三十七年御製)

    道
 「ひろくなり狭くなりつつ神代よりたえせぬものは敷島の道」(明治三十九年)

    道
 「いとまあらばふみわけて見よ千早ぶる神代ながらの敷島の道」(明治四十年)

    寄道述懐
 「ふむことのなどかたからむ早くより神のひらきし敷島の道」(明治四十二年)

 先生が、「敷島の道」といふ言葉をめぐつて、といふ研究ノートの中で紹介された 明治天皇の御製である。

 夜久先生は、三井甲之先生や、川出麻須美先生ら、正岡子規から、アカネ、そして人生と表現に連なる学統の流れに位置する方でもある。

 文芸に偏した「アララギ」と異なり、日本人が踏み行うべき道としての「しきしまの道」の在処を求めて、明治・大正・昭和を貫き、道を切り拓いていかれた先達である。

 「日本主義時代の古層」という研究所を昨年書店で見つけたとき、思わず「やった」と思った。それは、全てではないが、この道統についてそれなりに真面目な研究書がはじめて出た、という思いからである。更に、「日本主義的学生思想運動資料集成」といふ膨大な資料集が遂に刊行されたのである。これには本当に驚きかつ喜びが沸いてきたのである。

 「学問浪人」という言葉を冠されたことがある。

 近代の我が国の歴史の中で底流に根強く存しながら、軽佻浮薄な知識人が支配する大学やマスメディアという遊園地からは、はじき出されざるを得ない、真面目で地道な、わが民族の魂の在り処を探求する学問である。

 和歌というものが、単なる一文芸ではなく、日本人が踏み行うべき道として捉えられたときに「しきしまの道」と言うのである。

 昨日話を聞いてくれた方は十指に満たない方々であった。しかも和歌に興味のある人など殆どいなかった。この方々にどうしたら伝わるのか。結果として、しきしまの道に興味を持って頂くことが出来た。ある方からメールを頂いた。帰り道に一首作ってみようと思ったが、まだ出来なかった。また話しを聴きたい、と書いて下さっていた。

 夜久先生の御霊前に、頭を垂れつつ、「しきしまの道」の道統を守り伝へる一人たらんことをお誓い申し上げたい。

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