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2007年5月18日 (金)

教育の外何ものもなし~「名も無き民のこころ」序文から~

 以前にも、河村幹雄博士の文章は紹介したことがあります。

 「婦人の中に未来の人は眠れり」の一文のことです。

 昭和9年3月20日に刊行された、河村幹雄博士の遺稿集の抜粋「名も無き民のこころ」に掲載されたもので、感銘深いものでした。

 戦後教育を受けたものには、昭和初期の博士の文章も決して読み易いものではなく、読み進むのに難渋し、途中で放擲したくなることもたびたびでした。「婦人の中に未来の人は眠れり」の短文でさえそうなのです。

 しかし、この「教育の外何物もなし」は、一ページに足らない短文であり、文意も明瞭でした。

 新しい教育基本法が改正されて、現在国会では教育三法の改正が審議されています。これから新しい教育改革が推進されていくこのときにあたり、改めてこの一文に触れると、本当に心に染み入ってくるようです。

 「名も無き民のこころ」は、昭和四十四年に一度だけ、非売品として再版されたことがありました。

 学園紛争たけなわの頃のことです。

 大学問題に議論が集中する中、根本問題はむしろ小中学教育であるということを、再版に尽力した九州帝国大学で、河村博士の教えを受けた清成氏が記しているのです。

 不思議なことに、この再版された「名も無き民の心」には、昭和九年版の冒頭に掲げられた河村博士の遺稿である「教育の外何物もなし」と「年暮れむとす」が欠落しています。

 戦前・戦後を通じて、近代以降の我が国の教育の欠陥について透徹した視線を投げかけていた、河村幹雄博士の最晩年の言葉である遺稿を、是非多くの人に知って欲しいものと思い、ここに転記して謹載させて頂く次第です。

 漢字の字形が当時のものをそのまま再現できていないことと、仮名遣いをごく一部、現在の人にも読みやすいように最低限修正していることをお断りしておきます。また太字の強調も引用者の追加であることも申し添えます。


教育の外何物もなし

 乱れ行く世の様を視、狂瀾を既倒に回らさむと志す時、事を共にすべき人を求め、求めてその人なきを嘆じては人物養成の必要を痛感し、想は自ら教育に到る。
 ウォーターローの戦捷が、イートンの校庭に起因し、維新の大業が松下村塾に其の效を帰すと称して敢へて過言とする者の尠いのも皆教育の効果の偉大なるを認めての事である。
 世人一般を導いて此の確信に至らしめ正しき教育に全力を尽さしむる事、之が真に世を救ひ人を済くる所以である。マルクス輩偽預言者は何といふとも之を措ひて外に世を救ふ道はない。遅かれ速かれ人は此の一点―
子弟の訓薫、次代国民の育成程大切な事業のないといふ事実を自覚するに至る。
『世人が教育の外何者をも考慮せざる可き時機必ず至らむ』と一哲人は言った。此の信を持って教育を行ふこと之今日教育に従事する我等の重大責務である。(遺稿より)

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