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2006年11月25日 (土)

心優しき硫黄島総指揮官 栗林中将の絵手紙

国際派日本人養成講座に、次の記事が配信されました。

 米軍から見た硫黄島の戦い、深い鎮魂への思いが流れる
   ~映画「父親たちの星条旗」を見て~

ぜひ観てみたいな、と思いました。

硫黄島の総指揮官であられた、栗林忠道陸軍中将が布告した(と思はれる)「敢闘ノ誓」のコピーをバインダーに入れて持ち歩いています。

「       敢闘ノ誓

一、我等ハ全力ヲ奮テ本島ヲ守リ抜カン
一、我等ハ爆薬ヲ抱イテ敵戦車ニブツカリ之ヲ粉砕セン
一、我等ハ挺進敵中ニ斬込ミ敵ヲ皆殺シニセン
一、我等ハ一発必中ノ射撃ニ依ツテ敵ヲ打扑サン
一、我等ハ各自敵十人ヲ斃サザレバ死ストモ死セズ
一、我等ハ最後ノ一人トナルモ「ゲリラ」ニ依ツテ敵ヲ悩サン
                                     」

 硫黄島の遺骨収集団が灼熱の洞窟の中で見つけたといふガリ版刷りのものだといふことです。恐るべき闘志であり、米軍を震撼させた硫黄島の戦いは、この敢闘精神の発露として永遠に記憶されるべき、日本民族のテルモピュレーといってもよいのかも知れません。

 鬼神も避けて通る硫黄島の総指揮官の素顔は、実に心優しい父であつたことを、『「玉砕総指揮官」の絵手紙』に伺えます。絵がすばらしいもので、生き生きとした姿を描いています。そのことを奥様も感じて、絵に熱中して軍務がおろそかになるのではないかといふやうな心配を伝えたのかもしれません。こんな一節がありました。「御母さんは 御父さんの 画をかくこと迄心配してよこすが 太郎君は画でないと 御父さんの様子が分からないわね それにこんな画をかくのは 御母さんが心配する程 熱中したものでもない 言わば 一筆書きなんだよ」

 「猫だけは日本と 同じいから こんなものが非常 になつかしい 猫はほんとに味方 のような気がする程 外国は淋しいことがある」と書いているところがあります。3歳の長男、太郎君に、こんな率直な弱さまで披瀝している、子煩悩な優しい御父さんが、栗林中将(当時は大尉)だったわけです。

 子供に対する父親の心とはどういうものであるのか、伺い知ることができます。これほどこまやかに子供への思いを伝えることが、昔の御父さんには出来たのだ、ということを知ることは、たとえば今「家父長制」などという概念的な言葉でばっさりと切って捨てられる家族制度のマイナスイメージを払拭するのにも役立つのではないかと思われます。

 色々なことが思われます。

 最後に、硫黄島からの最後の電報を紹介しておきたいと思います。

昭和20年3月17日5時発 軍事極秘 警急電報

一、戦局は最後の関頭に直面せり
二、兵団は本十七日夜総攻撃を決行し、敵を撃摧せんとす
三、各部隊は本夜正子を期し各当面の敵を攻撃。最後の一兵となるも飽く迄決死敢闘すべし
  大君□□□て顧みるを許さず
四、予は常に諸子の先頭に在り
                                     栗林中将

昭和20年3月17日24時発 栗林兵団長訣別の電文

 戦局最後の関頭に直面せり 敵来攻以来麾下(きか)将兵の敢闘は真に鬼神を哭(なか)しむるものあり 特に想像を越えたる物量的優勢を以てする陸海空よりの攻撃に対し宛然(えんぜん)徒手空拳を以て克く健闘を続けたるは小職の自ら聊(いささ)か悦(よろこ)びとする所なり
 しかれども飽くなき敵の猛攻に相次(あいつい)で斃(たお)れ為に御期待に反し此の要地を敵手に委(ゆだ)ぬる外なきに至りしは小職の誠に恐懼(きょうく)に堪へざる所にして幾重にも御詫(おわび)申上ぐ 今や弾丸尽き水涸れ全員反撃し最後の敢闘を行はんとするに方(あた)り熟々(つらつら)皇恩を思ふ粉骨砕身も亦悔いず 特に本島を奪還せざる限り皇土永遠に安からざるに思ひ至り縦(たと)ひ魂魄(こんぱく)となるも誓って皇軍の捲土(けんど)重来の魁(さきがけ)たらんことを期す 茲(ここ)に最後の関頭に立ち重ねて衷情(ちゅうじょう)を披瀝(ひれき)すると共に只管(ひたすら)皇国の必勝と安泰とを祈念しつつ永(とこし)へに御別れ申上ぐ
 尚父島、母島等に就(つい)ては同地麾下将兵如何(いか)なる敵の攻撃をも断固破摧(はさい)し得るを確信するも何卒(なにとぞ)宜しく申上ぐ
 終りに左記駄作御笑覧に供す 何卒(なにとぞ)玉斧(ぎょくふ)を乞ふ

   左記

 国の為重きつとめを果し得で 矢弾(やだま)尽き果て散るぞ悲しき

 仇(あだ)討たで野辺には朽ちじ吾は又 七度生れて矛を執らむぞ

 醜草(しこぐさ)の島に蔓(はびこ)るその時の 皇国(みくに)の行手一途(いちず)に思ふ


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受信: 2007年2月19日 (月) 午後 09時29分

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