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2006年11月11日 (土)

「夜の神々」を読んで

 皇學館大学の松浦光修助教授の短編集「夜の神々」を読んだ。

 氏は知る人ぞ知る三重県の教育正常化運動の立役者の一人であり、三重県の日教組から数十億円の不当な過払い金を国に返還させた人物である。(詳細は同氏著「いいかげんにしろ日教組」参照)

 本業は勿論学者で、日本思想史を専攻しておられる。幕末維新期の国学者である大国隆正の研究で研究書も出しておられる。

 どんなすさまじい國士なのか、いかつい風貌を想像すると間違う。この本の中でも、自分の風貌について、面白い一文があった。第3章逆流に生きる、”私の虚像”について、で「東京では講演の前、ある教養ある御老人から、こんなことを言われた。「松浦先生といえば、私は西郷さんのような豪傑を想像していましたが・・・」。岡山では、講演会の会場で受付の青年から会場費を取られそうになったという。「青年から、「失礼しました。あまりにお若いので・・・」と謝られた。八十歳以上の”憂国の老人”があらわれる・・・と信じていたらしい。」。そしてPHPの女性編集者からは「この本の著者って、『ランボー』(主演/シルベスタ・スタローン)みたいな人かしら?」といわれたということである。
 そのつど、「坊主頭にして、犬を連れて会場に行けばよかったかもしれない」「水戸黄門のような格好をして、日の丸の鉢巻をして会場にいけばよかったかもしれない」「ボディビルに通う元気は、もうない、上半身裸で歩くには、もう寒い。」と、期待に応える自分を戯画化している。茶目っ気たっぷりであるが、これも氏の風貌の一つといえよう。

 一文が短く、長年に様々なところに、色々なきっかけで書いたものを集めた本なので、バラエティに富んでいて面白くて読み易い。そしてどの一文にも、氏の風貌が覘いて見えるのである。

 さて、松浦氏の風貌には、本質的に、詩人の魂が宿つてゐる。この本を読んで更にその意を強くした。詩人は物事の本質をズバリつかみだして一つの形を与える力を持つ。

 「敗軍失策の功」といふ薩長を論じた中岡慎太郎の言葉を引用して、大東亜戦争を論じるところは、短いながら実に印象深い。
  「負けてよかった史観」といふ、思想の左右に関係なく存在する一つの退嬰的な大東亜戦争観がある。これは日本人の一断面でもあるかもしれないが、負けて目が覚めたから繁栄した、というものであり、ばかな戦争をしたものだ、という考えにつながる。
 しかし、それは違う、と松浦氏は断じる。
 「巨視的に歴史を考えれば、攘夷戦争も大東亜戦争も、戦ったからこそ”次”があったのである。それこそ「敗軍失策の功」であるが、その言葉に秘められているような、深い知恵を欠いている人が、現代にはあまりにも多い。」「堂々と全力で戦い、その結果、敗北することは、悲しいことではあっても、決して恥ずかしいことではない。恥ずかしいのは、敗北に懲りて「引きこもり」のようになり、一室に安住し、延々と「負けてよかった」などと繰り言をつづける退嬰的な姿勢である」「「負けてよかった」などと言っているうちは、日本人の「心の占領体制」は終るまい。悲しみの涙が乾くことはないにせよ、人々が「それでも、戦ってよかった」と、誇りをもって父祖たちの戦いを想起できるようになったとき、日本は真の独立国家として、世界に堂々たる一歩を踏み出せるのではあるまいか。」

 最後に、この本は、やはり夜読むべきであろうと思はれる。

 「客観性、理性、知性」の「昼の科学」が、者會に不可欠のものであることは言うまでもない。しかし、人がそれのみで”生きる”には、かなり無理があるのではなかろうか。/無理くらいですめばいいが、とくに現代社会では、「昼の科学」の偏重が、人に、”生きる”ことのバランスを崩させ、さまざまな深刻な事態を引き起こしているようにさえ思われる。今こそ「感性、情緒、直観、霊感」の「夜の科学」を、人は意識的にとり戻す必要があるのではなかろうか。/本書は、そのような思いをこめて「夜の神々」と名づけた」

と、著者自ら記してもいる。

 「あるいは、人は夜の闇の中でこそ、神々に、より近づくことができるのかもしれない」

 静かな秋の長夜に、お薦めの一冊である。


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