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2006年10月21日 (土)

「本居宣長補記」を読み返して

 昨日、高速バスで移動する時間が往復で4時間以上あつたので、小林秀雄全集(昭和58年頃刊行)別巻1を持参しました。最新の全集ではなく、一つ前のもので、その巻を持ち出したのは特に理由があつてのことではありませんでした。

 最初に収録されてゐたのが「本居宣長補記」でした。何度も読んでいるはずなのですが、今回久しぶりに読み返して、何も読み取れていなかつたことに気付きました。

 さわりは、プラトンの第7書簡の話や、昔のエジプトの文字を発明した神様の話、ソクラテスの話などですが、主要部分は、「本居宣長」では触れなかった「眞暦考」についての話でした。

 この話、ぼやつと理解してゐたつもりだつたのですが、全く理解していなかつたことに気付きました。

 大陸から暦が入つて来る以前にも、古代人は暦を持つてゐたといふことについてなのですが、その証拠は、「暦」といふ漢字を「こよみ」と訓読みしたことで明らかだといふ訳です。

 その古代人の「暦」を、「眞暦」と宣長は言つたわけです。

 大陸から入つた暦は太陰暦で、四季の運行と月の巡りをあわせるために、閏月などが何年かに一度入るなどの特徴があります。眞暦はそのような不完全なものではなかつた、といふのです。

 絶対に狂はない暦、それが眞暦である、といふこと。

 このことの意味を、これまで良く分かつていなかつたことに気付いたのでした。

 現在使用されている太陽暦であるグレゴリウス暦も、四年に一度2月29日があるなどの調整が必要で、決して完全なものとはいえません。しかし、眞暦は狂はない、といふことはどういふことなのだらうか。

 これは、文字以前の言葉と、文字以後の言葉との関係のやうなものであることが、冒頭に何故文字以前についての話があるのか、分かります。

 自分の外にあるものとしての言葉、それが文字で綴られた言葉ですが、文字以前にあつた言葉は、全て自分の内にあるものであつた訳ですね。暦も同じだといふ事なのです。古代人は、四季の巡りと、月の巡りは別のものであるといふ事を認識してゐた、と。それを無理矢理合理的な説明をしやうとしたところに伝来の暦の様々な不具合が生じたといふ指摘はなるほどと思はれました。

 そして、古代人の認識は、現代の最新の科学にも繋がるやうなところがあるのだといふ指摘も面白いものです。

 人間の頭で捻り出した理屈などは、素直に大自然に直面してゐた古代人の認識に、到底及ばない。

 今、人間の頭でこねくり回す理屈が社会を支配しています。ジェンダーフリーや人権擁護法案などはその最たるものだと思はれます。それは言語魔術であり、中世の暗黒と少しも変はらないといつてよいのだと思はれます。

 人は誰しも古代人と同じ自己本然の姿を持つてゐるのだといふこと。そのことをよくよく考へねばならぬと思はされました。


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コメント

はじめまして。ようこそ当ブログへ。
窓の森に、フリーソフトで十干十二支が判る暦が出ていました。これなら調べがつく可能性はあると思います。

http://www.forest.impress.co.jp/article/2003/01/29/mycalendar.html

また、ウィキペディアにも干支の頁がありましたので、参考になるかもしれません。

この場合は、朔、とあるので、一日ではないかと思いますが、いかがなものでしょうか。

投稿: 橘 正史 | 2006年11月 7日 (火) 午後 10時50分

 筑摩書房の本居宣長全集を読んでいます。いま第十巻の古事記伝にかかっています。そこで年号や日付の意味がわからなく難儀しています。
たとえば「同御世五年三月乙巳朔辛酉、阿部大臣薨」この前段は三月何日ということでしょうか。
お知らせいただければ幸いです。またこれらの暦法を学ぶ、hpなどありましたらご紹介いただけないでしょうか。突然ぶしつけなお願いで申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。

投稿: 西村 伸平 | 2006年11月 7日 (火) 午前 10時55分

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