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2006年10月31日 (火)

高校未履修問題 「調査書改竄は犯罪」の記事を読んで思うこと、二、三・・

 産経新聞10月30日に、夜回り先生・水谷修氏「調査書改竄は犯罪」という記事が掲載されていた。

 「大学に提出する調査書や生徒の成績などを示す指導要録は絶対に改竄(かいざん)してはいけない学校の『公文書』。もし教師が授業を受けていない生徒の科目の成績を付けていたのであれば『公文書偽造』にあたり、立派な犯罪だ」と指摘。

 「改竄にかかわった教師は自ら名乗り出て、処分を受けるべきだ」と話した。

 水谷さんは、今回の問題で最も早急に対応しなければならないのは「今、行われている大学の推薦入試だ」とし「もし、調査書の改竄が原因で、(学習指導要領通りに履修していながら)入試に落ちた生徒がいるなら、大学側はすぐに調べて救済すべきだ。これでは教育の平等が保たれない。文部科学省も早急に対策を講じるべきだ」と話す。

 水谷さんは横浜市立高校の元社会科の教師。学校現場を知り抜いており、「市教委、県教委に学校から移動してくる教員がいるのだから、今回の問題を放置してきた教育委員会の責任は大きい」と批判。必修科目の未履修問題が生まれる背景には、大学進学実績を重視する学校の姿勢があると指摘し、「学校というのは、生徒の人格形成を築く場であるはずなのに、大学に受かることだけが目標にされている。教育の成果は学力だけで測るものではない」と話す。

 卒業できない恐れのある生徒の今後の補習についても、「なぜ、卒業間際の大事な時期に、大人が犯した過ちを子供に押しつけようとするのか。文科省が率先して、子供たちを救済すべきではないのか」と訴えた。

(以上、記事から)

 指摘されているように、この問題は、学校側の確信犯的な犯罪行為であるということである。

 更に、水谷氏が指摘する「調査書の改竄」が仮に現実にあったとするならば、未履修問題以上の恐るべき犯罪であるといってよい。なぜなら、教師が気に入らない生徒は、いかに優秀であっても、受験について極めて不利な立場に立たされるからである。未履修とは逆に、履修しているにも拘らず履修できていないという改竄がされていたならば、どんなに努力しても、その生徒は受験を突破することは不可能という事態になるからである。

 この間、教育講演会があって、このような問題が実際に起こり得ることの実例を聞いた。

 小学校での話しである。歴史の授業で先生の気に入らない答えをした児童が、それ以来どうも成績が伸びない。普通かそれ以下ばかりだというのである。そんなに出来ない児童ではないのだが、と首を傾げていたところ、中学に入った途端、ぐっとトップクラスの成績になったというのである。

 ここで示唆される問題は、その児童の担任教師は、自分の意に沿わない児童の成績を故意に操作して、成績を低く抑えていた可能性があるのである。

 もし、この児童が中学受験に臨んでいたとすれば、間違いなく落ちただろう。それは本人の能力や努力不足の問題では全くなく、担任教師の意に沿わなかったから、ということになる。対策は、教師の意に沿うように言動に気をつけるしかない。そして迎合するもののみが受験に通る、ということになるのであれば、人間性が歪められていくのは当たり前ということになる。

 未履修問題は、そのような可能性が、学校現場に蔓延している可能性を示唆するものである。そして、このような想像が、単なる妄想ではないということを、皮膚感覚として感じるのである。

 イギリスの教育改革の運動は、このような皮膚感覚を元として、身近な教育現場での不正を一つ一つ暴き、それを「教育黒書」として公表するところから始まったといわれている。広島の教育正常化運動も、正に具体的な危機感から広がっていったのである。

 日本の将来に暗い影を落としている「ゆとり教育」の後遺症は、この教育がなされた機関の児童生徒たちの将来に暗い影を落としている。悪いことに、この世代は丁度ワーキングプアといわれる世代に重なっている。どちらが先なのかわからないが、恐ろしいことである。「ゆとり教育」は、元々日教組の発案であり、彼等の運動の柱の一つでもあった。この「ゆとり教育」を文部省に広めたのは、広島に派遣され赴任した寺脇研教育長(当時)である。広島の日教組は、新社会党支持という、他県の教組から見ても更に左に寄っており、正に化石的存在であるが、彼等に妥協する中で洗脳されたのでもあろうか。この一事を取ってみても、広島の教育界の罪は重いといわざるをえない。隣県への教育難民の発生は、広島では常識でさえあった。産業誘致が教育の問題でつぶれたケースもあるといわれている。未履修問題は広島では教育正常化の過程で明るみに出て、是正されてきた経緯があり、今回、広島の公立学校でただの一校も未履修問題が無かったのも、既に是正されてきたという経緯があったからに過ぎない。広島の改革は、全国を少なくとも3年追い越した、ということが言えるかもしれない。逆に言えば、広島の教育正常化はどのようになされたのかを知れば、これから全国で起こってくる更に恐るべき実態が豫想出来るというものであろう。

 教育基本法改正の国会審議が始まった正にこの時期にこのように問題が明るみに出てくるということは、決して偶然ではない。戦後の教育の病弊が、今このときに当たって一気に吹き出てきたといえるだろう。

 いじめ問題、生徒の自殺。ここ一ヶ月だけでも余りにも痛ましい事件が続発しすぎている。どんな言葉も及ばないほど、日本は病んでいる。そしてその原因が教育にあること、少なくとも大きな原因の一つであることもはっきりしている。

 教育基本法改正の国会論議がどのようなものになるのか。党利党略でなされるならば早晩そのようなことをした政党なり政府は手痛いしっぺ返しを国民から受けることになるだろう。

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