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2006年7月29日 (土)

深読み

 富田メモ問題は相当に大きな反響を及ぼしているが、肝心のメモの実物は、日経新聞が買い上げてしまいこんでいるらしい。

 つまり、学問では決定的に重要な、原典に当たって検証するという作業が不可能になっているのである。そのような状況で、恣意的に選択されたごく一部分のみが、真偽を検証する術さえ奪われたまま垂れ流しにされるということになっているのである。

 これを謀略といわずして何としよう。

 その議論は多くされているが、もうひとつ裏面から見た落とし穴について、気付いた点を述べてみたい。

 言うまでもなく、靖国問題は国家の存立の根幹にかかわる問題である。そして、もうひとつ、更に上位に位置する我が国の原点ともいうべき問題は、皇室典範改定問題であった。

 皇室典範改定問題の際、政府要路から流れた謀略的な風説として「これは陛下のご意向である」というものがあったことは記憶に新しい。そして、その威力は政界を一時席巻したといっても過言ではない。

 その際、三笠宮寛仁親王殿下の深憂に発せられた言説が公表され、その際に某新聞などは殿下をご批判申し上げる言説を敢えてした。

 今回の、昭和天皇のご発言メモとされる富田メモについて、これを以ていわゆる靖国神社からA級戦犯の分祀を進めようという政治的意図を逞しくしている一連の人物たちがいるが、これに対して、それは「天皇の政治利用」そのものである、という批判の論陣が張られている。それは正当な議論だと思われるが、逆説的に、陛下のご意向であっても、それは「政治的に利用されてはならない」と逆手に取られて、皇室典範改定論議に対する男系維持の皇族方のご意向に対して「政治利用してはならない」などという形で議論を形成されることも起ってくるのではなかろうか。

 こうした、もって廻ったやり方で、保守陣営に論理矛盾や混乱を起させようとする意図が働いてはいないだろうか。また、議論させることによって、天皇のご存在と靖国神社を相互に誹謗する方向にはたらかせようという意図がないだろうか。

 現在の左翼勢力は、表面はソフトに、内面はよりいやらしく、本来の革命意図は隠して行動するという生態を示しているので、こうした以て廻った謀略に対して、保守陣営はよほど慎重にならねばならないのではなかろうか。

 表面に現れた現象面ばかりを追うのではなく、隠された意図を見抜く嗅覚を働かせる必要があるように思われる。そしてそれは、単純に疑うところに磨かれるものではなく、いわば「国柄」への信頼をより深めることによって磨かれるものと思う。

 今、最も問われているのは、昔風の言い方をすれば「国体への信」なのではなかろうか。

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コメント

その昔、九州のキリシタン大名達がスペイン人などの応援を得て秀吉に対抗する事は可能だったはず。
 だがそれは出来なかった。これこそが日本の国柄であろう。キリシタン禁令を出した秀吉の慧眼に身の痺れるおもいです。

投稿: sakura | 2006年8月11日 (金) 午後 07時07分

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