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2006年4月14日 (金)

閑話休題~ローマ人の物語再読~

 この間から、塩野七生さんの「ローマ人の物語~パクスロマーナ~」を読み返し初めて、今、「悪名高き皇帝たち」をカリグラ帝のところまで読んできた。

 ついつい面白くて読み進めてしまうのだ。無理をせずに読めてしまうのは、やはり文章がいいのだと思う。

 それにしても、ローマの皇帝が、中国の皇帝とも、勿論日本の天皇とも全く違う存在であることには興味が引かれるところだ。しかし、時々苦情を言いたくなることがある。ローマの属国・植民地は、後世のイギリスの植民地や日本の植民地とも違う、と記述したところなどだ。

 帝国主義全盛期の西欧列強の植民地支配のやり方にも幾つかの違った特徴があったが、日本のそれは更に違うのである。それに、日本の場合、台湾、朝鮮半島以外では満州ということになるだろうが、満州は傀儡といわれながらも独立国家としての体裁を整え、軍隊さえも持っており、本土以上の経済発展を遂げていた。また、朝鮮半島や台湾にしても、建前として本土同様を目指した施策が行われたのであり、その期間の短さかの中で、殆ど全てといっていい期間財政的には持ち出しになっていて、教育なども含めてインフラ整備に努めている。半島の国会議員や軍幹部までいた。

 第一次世界大戦後に、日本の委任統治領となった南洋方面にしても、地場産業の育成に尽くしたり、教育を熱心に行ったりと、スペイン、ドイツ、アメリカなどが統治した期間とは際立った違いを見せていることも見逃せない。

 第二次世界大戦の時、マレー、インドネシア、フィリピン、ビルマ(ミャンマー)、インドシナなどについては、植民地支配というよりも、軍事占領下の軍政の色合いの方が濃厚であるし、その短期間の間に行った施策でも教育をはじめとして民族独立の準備に必要な施策を行っているのである。

 塩野さんの著作は面白くもあり、政治的色合いからいえば保守的な作家と言われているが、その専門領域がイタリア史を中心とするヨーロッパ史であることもあり、日本の保守派としては、日本の歴史などに関する知識は一般のそれを大きく出ないもののように思われる。

 しかし、そういうことはともかくとして、中々なじみのないローマの歴史について、これほどまでに分かりやすく読めることは、楽しいことであるし、一流の作家であることは間違いない。まだ主だった作品を読破したわけでなく、ルネッサンス期の様々な著作が未読なので、これからじっくりと楽しませてもらいたいと思っている。

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