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2006年1月 7日 (土)

雑感

寒い一日。足が冷たい。

東京では、地下鉄の駅に警官が2名立っているのを見た、ヘリコプターが編隊を組んで飛んでいるのを見た、何か物騒な感じがする、ときいた。

一年の初め。この一年の課題を考える。

昨日は、林道義氏の「家族を蔑む人々〜フェミニズムへの理論的批判〜」を購入し、今日は渡辺みどり氏の「天皇家の姫君たち〜明治から平成・女性皇族の素顔〜」を購入した。手元に置いてある本としては、「語られなかった皇族たちの真実〜若き末裔が初めて明かす「皇室が2000年続いた理由」〜」(竹田恒泰氏著)、「與謝野晶子に学ぶ〜幸福になる女性とジェンダーの拒絶」(中川八洋氏著)、「日本の君主制」(葦津珍彦氏著)、「森先生 修身教授録1」(斯道会編)がある。

月刊誌では、VOICE1月号に「皇室典範の改悪を許すな〜二千年の伝統を一年の議論で覆せると思う無知蒙昧」という百地章氏(日本大学教授)と渡部昇一氏(上智大学名誉教授・「皇室典範を考える会」代表)の対談が掲載されていた。月刊現代には、「皇室はどこへ行くのか/天皇と民主主義」という保阪正康氏(ノンフィクション作家)と原武史氏(明治学院大学教授)の対談が掲載されている。月刊正論には、「平成の和気清麻呂、出でよ!〜世界に誇る皇室の伝統を無視する「女系」容認に意義あり〜」という記事が掲載されている。内容は昨年11月30日に開催された「皇室典範を考える集い〜「有識者会議」の見識を問う〜」での発言記録である。

新聞記事の切り抜きなどは枚挙に暇がないのでやめるが、皇室典範問題、憲法改正問題などが主である。

様々な問題が山のように情報として伝わってくるが、そのいずれもが日本という国のあり方を決定する大きなものばかりだ。

国民の一人として、身近な問題とは別に、これらの大局的な問題についての関心を持ち、自分としての思いを持つことは大切なことだと思われる。

「国民主権」が憲法の原則だといわれるが、その実質が選挙権の行使にのみあるのだとすれば、すでに多くの国民は、「国民主権」を放棄していると言ってもいい位の投票率ではある。しかし、ともかくも、昨年秋の衆議院選挙で示された勢力区分は、選挙制度の問題はあるとしても、一つの動かしがたい結果ではあった。

これについて、年末に読んだ「保守主義の哲学」(中川八洋氏)を念頭に置いて考える。
問題は、議会の絶対多数を獲得した政党は何をやってもいいのか、という問題である。このような発想は、「専制」に近く、こうした議会の暴走は、「専制君主」よりも遥かに凌駕する損害を、国家・社会にもたらす「民主専制」という事態をもたらす、というのがアメリカを建国した保守政治家A・ハミルトンの確信だったという。アメリカ憲法には「国民主権」の規定がないというのである。そして、議会に対する警戒を制度化したものとして、「違憲立法審査権」が実質的に機能しているのだという。この根底にあるのは、イギリス伝統の「法の支配」の原則であり、アメリカはその良き継承者だというのだ。

一方、ルソーを源泉とするフランス革命のイデオロギーは、まさに「民主専制」であり、その巨大な損害は、フランス革命の200万人の犠牲者を皮切りに、ロシア革命、中国革命を始めとする革命の犠牲者の数を数えれば十分だろう。アメリカの成り立ちがフランス革命の思想と一線を画している、という認識は新鮮なものだった。

絶対多数を獲得した自民党が、やっていいこととやってはいけないことの区別をきちっとつけて安定した政権運営をしてもらえるなら、国家にとってよいといえる。しかし、「皇室典範」問題に見られるように、やってはいけないことに手をつけようとしていることは、極めて危険だ。

日本国憲法の性格は複雑で、フランス革命以来の革命思想もあれば、大日本帝国憲法を継承する日本国体を保持している面もある。また占領基本法的な性格が、前文と九条に集約されている。厳格に守ることが不可能なほど原理主義に構築されている。厳格に守ろうとすれば、実質としての国家・国民に深刻な問題が生じる。戦後60年は、この憲法の近代原理主義的な運用を抑え、「法の支配」の原理に近い伝統と慣習を軸とした運用と解釈によって乗り切ってきたのではないかと思われる。しかし、憲法を原理的に厳格に解釈することに何らの躊躇もない人たちが、運用をはじめたらどうなるか。

「合理主義的設計主義」の観念論が、今ある伝統の社会や人間の心性に対してもたらす破壊の意味をどう考えるか。

2000年の伝統をも、一朝にして否定してしまおうという姿勢は、傲慢以外の何ものでもない。「法の支配」は「死者の民主主義」ともいえるかもしれない。この国を守り伝えてきた先人たちのことを無視してはならない。いまの人間が一時の用を足すためにつくった法律を優先させることは、極めて危険な社会実験である。革命国家はそれをしてどれほどの災厄をこうむったか。

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