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2005年7月30日 (土)

 気晴らしに・・・

塩野七生さんのエッセイ集「イタリアからの手紙」と、歴史点描小説「愛の年代記」を読んだ。

 文章のうまい人だな、と思う。

 大体、読み出したら止められなくなるという体の文章を書ける人は、いるようでいない。しかも、その文章の行間に溢れるものを感じさせる人となると、絶望的でさえある。

 エッセイ集の方は、現代(といっても少々前)のイタリアが舞台であり、その点描はまことにすがすがしいものに満ちている。
 しかし、「近代」に占領されてしまったイタリアは余り面白いものではなさそうである。歴史の上に生活する人々にとって、近代とは厄介なものでしかないのではなかろうか。その暴威はすさまじいものであるが。人の心については近代の方が膝を屈するしかないのではなかろうか。

 「愛の年代記」の方は、ある意味、女性が主役の歴史小説であるが、男性にとって、女性とはかくも恐ろしいものであるかを思い知らせてくれる分、男性にとってこそ読まれるべきものであるかも知れない。

 「3人子をなしても、女性には気を許すな」というのは、我が国にもある俚諺だが、それを地で行くような「バンドルフォの冒険」。

 キャリアを極めた女性が、自ら女性であることのために全てをなくしてしまう「女法王ジョアンナ」。

 女性への幻想を見事に打ち砕かれる青年を描く「ヴェネツィアの女」。

 女性の「業」とでも言うべきものを容赦なく描き出しながら、決して女性を貶めているわけでもなく、「愛」というものを本質とする女性が、それによって歩まねばならない人生のありようを描き出しているといっていいのだろう。

 少し気分を晴らせたいために手にとった2冊だが、あと一冊だけは読んでしまおう。「サロメの乳母の話」を。

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