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2005年7月

2005年7月30日 (土)

 気晴らしに・・・

塩野七生さんのエッセイ集「イタリアからの手紙」と、歴史点描小説「愛の年代記」を読んだ。

 文章のうまい人だな、と思う。

 大体、読み出したら止められなくなるという体の文章を書ける人は、いるようでいない。しかも、その文章の行間に溢れるものを感じさせる人となると、絶望的でさえある。

 エッセイ集の方は、現代(といっても少々前)のイタリアが舞台であり、その点描はまことにすがすがしいものに満ちている。
 しかし、「近代」に占領されてしまったイタリアは余り面白いものではなさそうである。歴史の上に生活する人々にとって、近代とは厄介なものでしかないのではなかろうか。その暴威はすさまじいものであるが。人の心については近代の方が膝を屈するしかないのではなかろうか。

 「愛の年代記」の方は、ある意味、女性が主役の歴史小説であるが、男性にとって、女性とはかくも恐ろしいものであるかを思い知らせてくれる分、男性にとってこそ読まれるべきものであるかも知れない。

 「3人子をなしても、女性には気を許すな」というのは、我が国にもある俚諺だが、それを地で行くような「バンドルフォの冒険」。

 キャリアを極めた女性が、自ら女性であることのために全てをなくしてしまう「女法王ジョアンナ」。

 女性への幻想を見事に打ち砕かれる青年を描く「ヴェネツィアの女」。

 女性の「業」とでも言うべきものを容赦なく描き出しながら、決して女性を貶めているわけでもなく、「愛」というものを本質とする女性が、それによって歩まねばならない人生のありようを描き出しているといっていいのだろう。

 少し気分を晴らせたいために手にとった2冊だが、あと一冊だけは読んでしまおう。「サロメの乳母の話」を。

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2005年7月25日 (月)

「世界がさばく東京裁判」復刊確定!

「世界がさばく東京裁判」復刊確定!だそうです。

終戦60周年目の8月15日、明成社から復刊です・・・!

外務省のお役人も、政治家のみなさんも、靖国神社のことや、東京裁判のこと、サンフランシスコ講和条約のことなどについて発言する前に、(恥をかかないために)この本を読んでおいた方がいいですよ〜。

これから、この本、きっとベストセラーになります!(根拠のない断定ですが・・・)

つまり、この本に書いてあることが、多数の国民が知ることになる、ということです。すると、惚けた発言をすると、すかさず突っ込みが入るようになりますよ。反論できないほど完膚なきまでに・・・。

個人の恥はどうでもいいことですが、外国交渉の前面に立つ責任者が恍惚では我が国の浮沈にかかわります。外交官試験の出題も考えて欲しいですね〜。せめて、パル判決書位は、必読の参考書にしては如何なものでしょう。

靖国神社の参拝に、国家として反対しているのは、中華人民共和国と大韓民国だけですよ。(北朝鮮はこの際度外視)世界190数カ国の中で、たったの2国。

参拝に理解を示すアジアの国も多いです。もっと言えば、自国の戦没者を大切に出来ない国は信頼されません。靖国神社には、世界中から要人の方も参拝に訪れています。

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2005年7月21日 (木)

積読と集中力

机の上の右手のところに、今積んである本がおよそ30冊。放っておくとこれがどんどん山積みになっていって結局読まずにまた元の書架に戻される。

そしてまた次々と積まれていって、時々はどどっと倒れてくるのだ。

本を読むということは、人によって早い遅いの差はあるものだろうけれども、一体相当な時間を食うものであることには違いない。

私の場合、一日一冊ならばまあいいペースだが、それでも読む本によっては一週間でも、時には一ヶ月でも平気で時間を潰してくれるものもある。勿論、合間合間に別のものも読んでいることがままあることはあるので、要は集中力の違いなのかもしれない。

司馬遼太郎氏の小説は、面白く読み出したら止まらないようなところがある。が、それでもやはり一晩に一冊が限度だ。ところが、「菜の花の沖」4冊を、一晩で、しかも充分味わって読んでしまえる人がいるのだ。

読書のスピードは、読みなれていればいるほど上がるものではあるけれども、僕はまだ到底及ばない。

これは、やはり集中力の力なのだろうか・・・。

フォトリーディングという方法を聞いたことがあるが、一体どういうものなのかは未だによく分らない。

「味わう」ということと「時間をかけない」ということは果たして両立するものだろうか。

関心のあるテーマを抱くと、それに沿った本を何冊も、時に何十冊も持ち出す。しかし、それを読破するまで、その関心への集中力が続かない、ということが、積読の原因なのかもしれない。

集中力を鍛えること。これは、色々な意味で、今の課題だなと思われる。

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 郵政民営化法案を巡る攻防と亡国についての妄想

 郵政民営化法案が、5票の僅差でようやく衆議院を通過したことを受けて、参議院での攻防戦が展開されている。

 衆議院で50人以上もの造反組みを出した自民党としては、参議院での対応を間違えれば党分裂にも繋がりかねないとの危機感も浮上している。

 参議院では自民党から18人の議員が反対に回れば否決されることになり、議員一人一人の動向が注視される。

 参議院で否決された場合、憲法の規定により衆議院に戻され、出席議員の3分の2の賛成により可決されるが、5票差しかなかったことを考えれば、衆議院での可決は極めて困難であり、事実上参議院での攻防が天王山となる。

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2005年7月20日 (水)

「愛国心が日本を亡ぼす」か?

ヘブライ大学教授のB・A・シロニー博士は、近著「母なる天皇」など、日本の伝統の核心を「天皇」に見て、その研究に余念のない人物であり、日本を愛してくれているイスラエル人の一人であります。

山本七平氏とも大いに親交があったと思われ、氏が翻訳した著書が幾つかあることでも知られます。特に「天皇陛下の経済学」は出色の日本論であると言えると思います。

氏が1989年、つまり昭和64年、平成元年に著した著書に「愛国心が国を亡ぼす  千年紀の発想  ミレニアムからの警告」という本を出しました。

教育基本法改正の議論の中心議題ともなっている「愛国心」について、敏感になっていたこともあって、入手しパラパラと読んでいます。山本七平氏が監訳していて、冒頭に「「千年期(ミレニアム)」で見た日本への警告」という一文を草していますが、これが要約のようにもなっています。千年単位での歴史の見方を示唆していますが、これは、中西輝政氏が「国民の文明史」の中でも述べている文明史の方法論に通うものでありましょう。

問題の「愛国心が国を亡ぼす」という第4章を先に目を通してみましたが、シロニー博士は一言も、そのようには述べていません。偏狭なナショナリズムについては否定的ですが、それをより大きく「地球への愛国心」へと昇華させることを示唆しているわけで、その「愛国心」こそが地球を一つにしていく過程で大きな役割を果たし、日本文化も果たすべき役割があることを述べています。

地球が益々狭くなり、相互依存なしには誰も生きていけなくなりつつある現在の世界を見据え、千年の単位で歴史を見ることにより、何が大切であるのかに考察を加えているわけです。

具体的な内容について、今紹介する余力はありませんが、少なくともこの書が、「愛国心」自体を否定している論文でないということだけは言えると思い、それを指摘しておきたいと思いました。

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2005年7月18日 (月)

草莽の思ひ

あさみどり 澄み渡りたる 大空の 広きををのが 心ともがな

澄めるもの 昇りてなりし 大空に 向かふ心も 清くぞありける

様々の 虫の声にも 知られけり 生きとし生ける ものの思ひは

 学生時代に憶えた 明治天皇の御製歌です。

 明治天皇御製のおおどかな調べは、拝誦し奉るたびに
味はひ深く、心澄みゆく心地がします。

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2005年7月13日 (水)

しきしまの道について   その1

 和歌の勉強には、万葉集を声に出して繰り返し読むのが一番、ということですが、いきなり万葉集を買ってきても、中々取っ付き難いかも知れません。

 でも、やはり一応手元にあったほうがよいでしょうね。色々ありますが、角川文庫の万葉集上下、岩波文庫の万葉集(白文もあるので注意。これはまず読めません) 文庫で一番いいのは旺文社文庫の万葉集上中下なのですが、これはちょっと手に入りにくいかもしれません。その他無数に出版されていますので、どれかは手元に置いて下さい。

 万葉集の入門書は、これまた沢山の人が書いています。

 本当は正岡子規の「歌よみに与ふる書」をお薦めしたいのですが、これは最初からは少々取っ付きにくいかもしれませんので、気軽に読めてじつは深いというやつでは、新潮文庫に入っている犬養孝先生の、「万葉のいぶき」「万葉の人々」などをお薦めします。万葉学者と呼ばれ、大和路を行幸された昭和天皇に、天の香具山の頂上で、万葉集のご進講をされた方です。ちなみに、昭和天皇は昭和60年の歌会初めの御製で、
    
    「旅」
遠つおやの しろしめしたる 大和路の 歴史を偲び 今日も旅ゆく

という御製(天皇陛下の御歌のことを、「ぎょせい」と申し上げます)を詠まれました。

 まずは、いいなあ、と思える歌を見つけることだと思います。そして、それを暗誦して繰り返し繰り返し口にしてみるのです。そういう歌が幾つも増えてくると、そのうち、自分でもその言葉を使って、歌を作りたくなってきます。

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白南風の頃

梅雨もあと少しで終わりそうです。
今日、南鳥島の近くで台風が発生したとラジオが言っていました。

南鳥島は日本の領土です。尖閣列島も、竹島も、北方領土も、みんな日本の領土です。

「天気」という言葉も面白い言葉ですね。

天の気持ち、の略とでもいうわけなのでしょうか。

「天」という言葉は、「あめ」と訓じますが、「地」に対して、それを覆う全体を「天」というわけですね。

その「天」が機嫌を損じると、雨が降ったり雷になったりするわけでしょうか。

WEATHER という英語とどの程度、深い意味において重なりあうものか?

あまり深く考えられませんが、とにかく、天気は良いに越したことはありません。

但し、空梅雨にならなくて良かった。

天気が良いというのは、何も快晴に限らないのですよね。農作物が出来るには雨が降らないといけないわけですから・・・。

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2005年7月 4日 (月)

大和ミュージアムと、心をなくした日本人

大和ミュージアムが広島県の呉市にオープンして2ヶ月で31万7千人を超えたとききました。
文藝春秋他多くの雑誌などでも紹介され、盛況な模様です。

私も2度ほど足を運びまして拝観致しました。実物の10分の1の模型は大きなプラモデルという感じでしたが、技術の発展を軸に辿った呉の歴史の展示は興味深いものでした。呉に海軍鎮守府が置かれ、近代日本の歴史に大きな役割を果たしてきたことが確認できます。

佐久間艇長の遺書で有名な第6号潜水艇の事故についても展示がありました。

世界最大の戦艦(このレコードは未だに破られていないそうです)であった大和が、昭和20年3月沖縄に向けて艦隊特攻を敢行し、雄図空しく米機の来襲により撃沈されます。特攻隊が米艦目掛けて突入していく様は、壮烈の一言に突きます。やがて原爆投下、玉音放送と続く映像には、誰もが足を止め釘付けになったように立ち止まるのです。

日本民族が歴史上初めて敗戦を喫した大東亜戦争。その記憶は、日本人であればやはり何かを感ずるのでしょう。

大和乗組員の方々の証言、また戦死された方々の遺書なども展示されています。

単なる技術の話ではなく、魂のある技術を学べるところだといえるかも知れません。

人間魚雷「回天」の実物が展示されています。そこには、塚本太郎中尉の肉声による遺書が聞けるようになっています。
「勇躍戦地に赴き」という形容は、決して軍国主義の宣伝文句ではなく、当時の一つの実感だったと思われます。

国を挙げての戦争に敗れた虚脱が、今にいたるまで日本人の魂に深い傷を残していると思われます。

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