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2005年3月30日 (水)

子規  〜その6〜  対比

岩波文庫の「子規歌集」に2種類あることを、最初に記した。
戦後1959年(昭和34年)に出版されている。選者は土屋文明。
戦前昭和3年(1928年)に出版されたものは、編者が鼠骨になっている。

ちなみに、戦後の奥付は西暦のみ、戦前は元号のみの年号で記述されている。

この両者を見比べた時、やはり感ずるのは時代の違いである。

戦前版のものは、明治31年から始まっている。これは、明らかに子規が和歌というものに本気で取り組み始めた時期を意識していると思われる。

次に、歌の選択である。

戦後版には、明らかな戯れ歌も載せているが、戦前版には殆ど全くといって良いほど見られないこと。これは際立っている。

三つ目には、これは致し方ないことかも知れないが、子規への思いの強さの違いである。戦前版の鼠骨は、子規の明治33年の歌の中に「鼠骨入獄談」という8首連作がある。子規の親しい友人でもあり、歌の同志でもあった人だ。解説はたったの5行。「歌会の席上の悪戯気分や楽屋落気分から座興に作られたもの等を省き、大部分を抄出したものである。以て子規居士の和歌を伝ふるに充分だと思ふ。」と言い切っている。思いの深さが偲ばれるのである。

四つ目。戦前版には長歌も採られているが、戦後版には全くないこと。

五つ目。皇室に関する歌が、戦前版には掲載されているが、戦後版を見てみると首を傾げたくなるほど落ちていること。これなどは正に「時代の違い」といえようか。しかし、鼠骨の編集態度からすれば、子規の精神を伝える上では戦前版の方が真に近いといえるかと思う。

これらを対比して浮かび上がってくる子規像はかなり異なってくるように思われる。

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