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2015/03/29

明治天皇御製 桜を詠ませ給ひける大御歌 明治三十七年

   待花

事しげきことしの春もしかすがに花はいかにと思ふなりけり

   花

古のひとにいはれて咲く花にむかへどうたふ言の葉のなき

朝がすみたなびく山をみわたせばはつ花ざくらおもかげにたつ

ひとさかりすぎての後にたづね見む深山櫻はおそしとぞきく

おもふことしばしまぎれて庭ざくらにほふ梢をうちまもりつつ

吹く風もしづかなる日にいとまえてうちまもりぬる庭櫻かな

高殿の上より見ゆる山の端にうれしく花のさき匂ひたる

春ごとにうたげのにはにつらなりし人をぞおもふ花蔭にして

花見にといでし旅にもあらなくに山路の櫻いまさかりなり

ともなはぬ人にみせむと折らせけりふみわけがたき山のさくらを

ひと枝は折りてかへらむはるばるとたづねし山の花櫻ばな

白雲のなびくすがたに似たるかな風にたわめる山ざくら花

春雨のしづくの落つとおもひしはまことに花のちるにぞありける

たまさかのいとまを得つつ花みむとおもふけふしも春雨のふる

朝戸あけてひとりわがみる庭ざくら世にいひしらぬにほひなりけり

あたりみなをぐらくなりて山のはの花はいよいよ白くみえけり

かがり火のひかりもきえてそことなく寒くなりけり花のしたかげ

うゑしときともにありつる老人に木高くなりし花をみせばや

春ごとにかはらぬ花を友とせむうつりゆく世はさもあらばあれ

うたげして花みるけふははまどのの庭のさくらもうれしかるらむ

こずゑのみ人に知られて櫻花木がくれながら散りや果つらむ

老人もゑみさかへつつ咲きにほふ花の木蔭にあそぶ春かな

ほのぼのとあけゆく磯の家ざくらふねのうちより海人はみるらむ

   落花

をしみても折りとらざりし櫻花うてなながらに散りしきにけり

さらぬだにものなつかしき春の夜のおぼろ月夜にちるさくらかな

風ふけば雪とみだれてちるはなに庭のすみれもうづもれにけり

雨晴れし庭の木蔭にたたずめばぬれたる花の袖にちりくる

大堰川いかだの過ぎしあと見えてちりうく花のたちわかれたる

   をりにふれたる

世のためにもの思ふ時は庭にさく花もこころにとまらざりけり

絲ざくらひもとくことも遠からじ末おもげにもなりはじめけり

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