「大東亜戦争殉難遺詠集」 桜花集―戦没者遺詠集― (22)
関根 滋
昭和二十年七月二十四日、戦艦「伊勢」に乗り組み、空襲下の広島県呉軍港にて戦死。享年二十二歳。(福島県)
ここだくの生ける人みなすてがたきおのれすてずてゆきなやむかも
※ここだく=幾許。たくさん
君のため大和男の子が櫻田にきほひし日にぞふれる雪かも
國を思ひやまと男の子が櫻田にきほひし日にもふれる淡雪
※江戸城外桜田門。万延元年(一八六〇年)三月三日の雪の朝、大老井伊直弼の弾圧政策を憎んだ水戸浪士等十八名が、桜田門外で直弼を暗殺した。
折にふれて
いたらざる足らざる多し一年の我が来し道をかへり見すれば
噛みこなし噛みてふくめてのたまひしかのみ言葉は忘らえぬかも
友は皆いで征きにけりきびしくも氷雨降りしく伊達の國原
ことさらにたのしかりけり草莽(さうまう)の道行く子らのまどゐする夜は
しぐれ来て紅葉ちりかふさ庭べに心の友を恋ひて居にけり
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